麻酔と鎮痛はおんなじ??!

12月も残り半分、年賀状は年々書けなくなっていく方、深井です。みなさんは年賀状、準備お済でしょうか?最近はSNSや電子メールでというのも多く、年賀状離れが進む一方と言いますが・・・一つの文化として残っていて欲しいなーと思います。・・・古風でしょうか(笑)

さて、タイトルのクエッション、みなさんはどう思いますか??何らかの理由で手術受けたことあるよ、私。という方(そんな人は多くはない?)はわかるかもしれませんが・・・

答えはノットセイム。同じではありません。残念ながら?

これ、実は獣医さんもよく勘違いされているのですが、前回、麻酔とは云々と言いましたが、麻酔がかかっていれば痛くないわけではありません。実は一般的な全身麻酔に用いられるお薬(血管から持続的に使用するものも呼吸ガスでしようするものも)では痛みを抑制する作用は十分ではありません。これだけで十分な作用を得ようとすると・・・いわゆる深い麻酔が必要になってしまう事が多いのです。そこで、鎮痛薬、が必要になります。これは麻酔薬のように眠らせる作用は弱いか無いものが多いですが、痛み刺激をブロックする作用を強く持っているお薬です。

もちろん、手術内容や手術者の技術によって患者が受ける痛み刺激の度合いは変化しますので、全ての手術麻酔で鎮痛薬が必要なわけではないのですが。

麻酔のお薬と鎮痛のお薬を組み合わせることでお互いの足りない作用を補う形でより安全な全身麻酔状態を作ることが出来るんです。

こうなると同類のお薬のようで違うもののようですよね。

さて、ではそんな鎮痛薬、いったいどんなお薬使うのかというと・・・・・

バンテリンやなんかに含まれているNSAIDsと呼ばれる消炎鎮痛剤(ちなみにバンテリンに入っている薬剤は犬猫には危ないので使いません!!)、非オピオイド薬と呼ばれる鎮痛薬(麻薬に似ているけど常習性がないもの)、それにオピオイド薬(つまり麻薬ですね)といったところが一般的なものでしょうか。

最後になんか危なそうなものが使われている!!って思われた方、いらっしゃると思います。麻薬って聞くと多くの方が『癌の末期』=『激痛』=『麻薬(モルヒネ)』=『意識が朦朧』というようなイメージを持たれているのでは??と思います(私のおばあちゃんもそうでした)。確かに癌患者さんのようなケースではそういったこともありますが、麻薬にもいくつも種類があって、手術に用いられるのは主にフェンタニルという鎮痛作用に特化した麻薬が一般的です。また鎮痛作用を目的として使う場合、強力な鎮痛作用を発揮しても意識抑制の作用はほとんど出ませんのでご安心ください。

これほどまでに強そうなオピオイド・・・じゃあ手術って痛くないんですね!!って言いたいところですが・・・・

痛いです!!!いや、これは実体験です。実は4,5年前に肺をちょびっとだけ切る手術を受けているんですが、手術は流行の?鏡視下手術(胸を開けないで小さい創でカメラを挿入してする手術です)で麻酔は全身麻酔、鎮痛薬としてフェンタニル・・・まるで同じですが(笑)

自分が目が覚めてからというと・・・いや、痛かったです。翌朝までは結構な痛みが残りました。

こんなこと言われると鎮痛薬って意味あるの?!って思われてしまうかもしれませんが、実際に痛みは抑制されているので、使わなかったら激痛だったと思います。

また、近年では痛みを抑制するのにお薬の全身投与よりも局所の麻酔、例えば腕の手術であれば腕の神経に麻酔かけて痛みを抑制するという神経ブロックと呼ばれる鎮痛が人では積極的に用いられるようになっています。動物医療でもここ数年でこの神経ブロック、広まってきています。私も手術部位によって用いていますが、あった方が痛みの抑制効果は高いです。ただ、この処置は端的にいうと神経の近くに麻酔薬を打つことになりますので、手技を間違うと不要な合併症を招いてしまいますので、現時点では誰でも出来るものではありません。ですが、当院でも今後はこう言った技術も底上げして安全で痛くない手術が行えるようにできればと思います。

麻酔のお話が気付けば手術のお話しになっていたような・・・麻酔シリーズ第3弾でした(笑)

昭和のにおいがするとちょっと気になる深井でした。